【零ノ末章】

翌日、竜也の家で勉強会が開かれていた。
「うん、分からん」
「真面目にやって」
「真面目も真面目、大真面目なんでけど?」
「え?本当に?」
「うん」
「これは━━━━酷いね」
やっていたのは寧音に作って貰った基礎を集めた簡易テストだ。教科は数学。ぶっちゃけ得意な方の教科だ。はて、苦手な古典とかやったらどうなるんだろう。
「よし、これは今日一日みっちり勉強だね」
「ゔゔっ」
「分かった?(圧)」
「は、はい」
(怖いですよ寧音さん?)

━━━数時間後
「また同じとこ間違えてる」
「ご、ごめん」
「ほら、やるよ」
「はい」
今やってるのは古典。簡易テストは散々なものだった。なんと綺麗な丸一つ。
・・・詰んだ。

そんなこんなでテスト当日。テストは一週間続き、「毎日午前で下校して午後は明日に備えろ」というのが俺達の学校の方針だ。
━━━━一日目、教科:現代文、物理
━━━━二日目、教科:数学Ⅰ、現代社会
━━━━三日目、教科:生物、古典
━━━━四日目、教科:数学A、コミュニケーション英語
━━━━五日目、教科:英語表現、道徳
俺達の学校では道徳のテストがある。テストは話を読んで大切だと思った事を書く形式で、採点方法が特殊だ。それは、匿名でクラスメイト全員にクラスメイト全員の解答が配られ、一番良いと思った文に印をつける。印の多い順に精査していき、印の多い文から得点が配分される。最大100点、最低0点になる。印のなかった文は0点となる。1位は100点、2位は80点、3位は50点、4位は30点、5位は20点、6位は10点、7位は8点、8位は5点、9位は3点
10位は1点の配分がされる。このテストに赤点は無い。なら、書かなくていいあという人が出ないようにこのテストの点数はその人の人となりを示す人間点として加算され、赤点がある場合、赤点のテストの点数に振り分けられる仕組みを取っている。更に特殊なのが、この点数は、他人に譲渡可能だというところにある。竜也は道徳のテストで毎回1位を取っている。なので、赤点になったことはない。
更に言えば、人間点が他に比べ異常なほど高いので、通知表に悪い文章が書かれることがない。
今回のテストは寧音のおかげで自己採点の素点での赤点がひとつもなかった。なので人間点がそのまま上に重なって赤点とは縁遠い評価を得られるはずだ。一方、寧音には人間点を上乗せしても届かなかった。

テストの日は半日で学校が終わるので、昼から竜也の家で寧音とお疲れ様会をする事になった。