-ARISA’SVIEW-
私は目の前で起こった出来事に、驚くことしかできなかった。その理由は、さっきまで敵を圧倒していた一兎君が、落雷によって倒されてしまったからだ。
アリサ「一体だれが・・・こんなにタイミングよく雷が落ちてくるわけがない・・・ッ!」
すると前方に人影が急に現れる。
?「さすがにまだ死んでないよな?第参幕の妖術をぶつけたはずなんだけど、しぶといね、君」
一兎「だれだ、おまえ」
何とかして立ち上がる一兎君。
A「俺の名前はAとでも名のっておこうか。てか、そんなこと気にしてる場合か?」
そういうと、Aは攻撃を出そうとする。
一兎「気にして悪いか?妖術、第玖幕、」
一兎君は私をかばうようにかまえる。
A「その状態で俺に勝つつもりか?妖術、第玖幕、」
使う妖術のレベルは、二人とも同じだけど、このままだと一兎君が負けてしまう。
A「悲雷槍!」
一兎「火具土命ノ憤怒」
一兎君の技は、炎の壁で攻撃を防ごうとするものだが、Aの技は雷の槍。誰かが助けに来てくれることはなさそうだ。悔しい。何が悔しいって目の前にいる人はピンチなのに、一番近くにいる私が何もできないってのが悔しい。そう思った私の体は、無意識の内に一兎君の体を支えに行った。
-ICHITO’SVIEW-
俺がAの攻撃を防いでいる最中に、後ろから、手のようなものの感触がした。後ろを確認するとそこには、
一兎「アリサ!?」
なにをしているんだを聞こうとしたが、それよりも別のことが気になった。アリサの手から、力が流れこんできたのだ。
一兎(力の増幅か?でも、これなら・・・)
すると、雷と炎がはじけ、爆発した。
しかし、俺たちへの影響はなかった。
A「馬鹿な・・・それに、なんだよ。それ。」
Aは目を見開いた。とうぜんだ。俺の背中に、漆黒の翼が生えているのだから。
一兎「妖力全開放」
妖力全開放とは、俺の妖怪としての力を、最大まで引き出し、自身の姿も一部妖怪の姿に変えるというものだったA「くそ!妖術、第伍幕、雷障
!」
慌てているせいで雷妖術特有の遠距離攻撃が当たらない
一兎「今ならあれがまた使えるかも・・・」
力が欲しい。その想いがいま、覚醒した俺の中で大きくなる。
一兎「秘守術、地ノ道、虚無破滅の影」
以前とは違い、今回は左右に三本ずつ黒い羽根が生える。今の俺が、妖怪だからだろう。そのため、今の俺のセフィラム能力は、終焉回路じゃない。正確には、変化したのだ。
A「それが秘守術か。でも俺はおまえを倒してみせる!絶対に!」
Aが全力で突進してくる。しかし、俺は無意識のうちに握っていた刀で応戦する・・・?
一兎(なんだ?この刀。いつのまににぎっていたんだ?まったく理解ができない。ただ、この刀からは、俺の妖力と謎の神力が感じとれるということだけだ。
A「妖術、第拾幕、轟音激雷」
無限ともいえるほどの雷の矢が、俺をおそう。
一兎「使えるものは利用すればいいだろう」
俺は謎の刀を使い、雷を斬る。
A「クソ!こんどこそ!」
Aはもう冷静さを欠いている。
A「うぉおおおお!妖術、幕引き、轟迅爆雷!」
落雷が永遠に続く。だが、こちらは無限だ。
一兎「無影虚像。」
俺の二つ目の能力。妖力を開放している時のみ使える技。無数の斬撃で、雷を斬る。無影虚像は、実態のある虚像を作り出す。大きさも、数も、自由自在に設定できる。
一兎「これで終わりだ。妖術、幕引き、終炎ノ一太刀!
巨大な炎の刀がAにおそいかかる。
A「あぶねぇ!なんとかよけれた・・・・・・ッ!」
なんとかかわしたAの顔が、絶望に染まる。
一兎「乱世・無影虚像」
時間差で炎の斬撃が大量に降り注ぐ。
-ANOTHERWIEW-
A「ぐぁあああああ!」
無数の斬撃でAが倒れる。
?「あーあ、負けちゃったか・・・ま、予想はしてたけどね。にしても一兎君の【秘密】はボクの思ってたとおりだったか・・・」
ボクは遠くから一兎君を見る。
?「やっかいな【秘密】だなぁ。手を打たないとね。」
ボクの【秘密】は、一兎君にはバレてはならない。そう、このボク、Jの【秘密】だけは・・・