第四話 最速×最恐

龍時りゅうじ「ここがやつらの潜伏場所だ。一兎、準備はいいな?」
一兎いちと「はい、こっちはいつでもオーケーです。」

一週間前から俺たち銀狼ぎんろう は、連続誘拐事件を追っていた。誘拐対象はセフィラム反応、つまり能力の反応がある者だ。セフィラム反応は、能力者の発見から五年後くらいに発見された能力者特有の反応で今では能力者の反応があるかどうかなどは、簡単に調べられる。その反応の強さによって能力の強さが決まると言われているので、今回誘拐されたのはみんな反応が強かった人たちだろう。反応が強ければ、実験するときに、一番変化がみられるからな。実験と言っても非人道的なものだろうがな。

龍時「突入まで、三、二、一、GO!」
その合図で突入する。
誘拐犯A「な、なんだ?・・・ぐふっ!」
誘拐犯B「敵襲!敵襲だ!」
そんな風にギャアギャア叫んでるだけだから、俺たち師弟コンビには敵うはずもなく、
一兎「ここら辺は一掃できましたね。」
龍時「ああ、班長!被害者はどこにいる?」
幽「そこから奥のほうまでまっすぐ行ったところだ。」
龍時「よし、一兎、行くぞ!」
一兎「はい!」
幽さんが能力を使って道案内をしてくれるので、救出の作業が一段と楽になる。
龍時「これで全員か?」
被害者「あ、あの。あと一人あっちの奥のほうへ連れてかれたっきり帰ってこないんです・・・」
龍時「何っ、一兎!お前がいってこい!この人たちは俺が安全な所へ連れていく!」
一兎「わかりました。そっちは任せました!」
俺たち最速×最恐の師弟コンビは信頼関係も抜群なのである。
一兎「ここら辺が最深部なのかな?」
俺が探索を初めて約二十秒ようやく檻のようなものが見えた。その中にいたのは・・・
一兎「・・・・・・。」
服装は、先ほどの被害者たちよりボロボロだが、艶やかな長い髪、透き通った水晶のような双眸、その反則的な美しさに一兎は一瞬ではあるものの、目を奪われてしまった。しかし、なぜか一兎は違和感を覚えた。しかしその違和感はその美しさのの中に消えてしまった。
一兎「君、大丈夫か?すぐに助けて・・・ッ!」
俺は後ろから迫る殺気に気が付きとっさに能力を発動、その効果は体をダイヤモンドと同等の硬さにするというものにした。よけるという選択肢を選べば、飛び道具が飛んできたときにこの少女に攻撃が当たる可能性があったからだ。
主犯「俺の部下たちをずいぶんと可愛がってくれたみてぇだな?お前には痛い目に合ってもらうぞ?って言ってもきこえてないだろうがな。」
一兎「なるほど、お前の能力は気圧の操作か。どおりで硬化能力じゃ防げないわけだ。」
俺は痛む耳をどうにかしようとする。気圧操作で耳を攻撃された。でも、気圧の仕組みさえ分かっていれば、こんな能力どうにでもなる。
一兎「いや、君の言葉ははっきりと聞こえたよ!この耳に、ね。」