第三話 灼熱の 半妖

一兎「妖怪たちのユートピア?」
テロリストB「私が話せるのはここまでですね。それでは、人間の貴族を・・・・・・・・・ッ!」
やつが驚くのも無理はない。なぜなら彼らの姿がもうないからだ。
一兎いちと「悪いな、こっちにも優秀な司令官がいるもんでね。」
テロリストB「クッ!皆さん、あの半妖をやってしまいなさい!」
テロリスト共「うおおおおおおおおおお!」
一兎「俺に挑むのは構わないが、後悔するなよ?終焉回路!」
テロリストA「相手は一人だ!数的有利の状況下で負けるわけがねえ!妖術ようじゅつ第壱幕だいいちまく水蘭すいらん !」
一兎「妖術、第壱幕だいいちまく鬼火おにび
テロリストA「炎の妖術で俺の水の妖術に勝てるわけが・・・・・・ってぐぁあ!!」
一兎「さてと、全員まとめてかかってきてもいいぜ?二人対十数人でも負けないからな。」
テロリストB「二人?いや、あなた一人だけじゃ・・・・・・ッ!」
幸「絶対投擲アブソリュート•フロー!!」
テロリスト数人「ぎゃああああああ!」「ぐほぉ!」「ぐはっ!」
幸の投げた鉄の塊が何人かの頭にヒットする。俺が時間を稼いでる間に、幽さんが王族の人を安全な場所に移動させ、幸が目覚めるのを待つという俺の即興で作った作戦に相手はまんまと引っかかった。
一兎「さて、ちょっと本気を出そうか、バーンフェーズ!」
テロリストC「あっあちぃ、なんだあいつ、まるで炎の魔人じゃないか、いや、灼熱の半妖か?」
一兎「そんな無駄口をたたいてる暇があったら戦うか、逃げるかしたらどうだ?ま、逃がさないんだけどね。」
幸「俺にもかっこつけさせろって!おい、一兎?聞いてるか?おーい!」
一兎『妖術、第捌幕だいはちまく炎狼えんろう爪痕つめあと!』
炎狼の爪痕は、歩数を重ねるたび加速する妖術だ。さすがに長時間は使用できないが、およそ三十歩ほどでその速さは音速に到達する。そしてこの妖術の使用中は、全身が炎に包まれる。そしてこの技と相性がいいのが、
一兎『妖術、第参幕だいさんまく業火の一太刀ごうかのひとたち!』
一筋の炎が相手を包む。そして、相手は全員倒れていた。業火の一太刀は、炎をまとった剣で一閃する技だ。炎狼の爪痕で走りながら使うことで、炎による一閃が、炎の剣舞に変化する。
一兎「テロリストの制圧完了。」

幽「今回の襲撃の一部始終を見ていた一般人が妖怪の存在をSNSにアップした。一兎との戦いの様子もだ。一兎は能力で顔を変えていたから問題ないが、世間は妖怪の存在に関して否定的だ。一兎の正体は組織の人間全員に説明する。いいな?」
一兎「はい。」
あの事件の翌日、テレビでは妖怪の存在が取り上げられていた。まったく生きづらくなったもんだぜ。能力者の存在を肯定する人がいても、妖怪の存在を肯定してくれるような一般人なんてこの世にはいないのだと。誰もがそう思っていた。特に俺が、俺の正体を知っても仲良くしてくれる人なんて組織の人以外にはいないのだとそう思っていた、そんなことを考えながら五日の時がたった。
幽「任務だ!連続誘拐事件の犯人の潜伏場所がわかった!奴らは能力者を誘拐したあとで海外のマフィアに売りさばくつもりだ!一兎!龍時!お前たちで救出してくれ!今すぐにだ!」
一兎、龍時「了解!」