第二話 妖怪たちのユートピア

ゆう「この任務は、一兎いちとゆき、君たちに任せようと思う。」
一兎、幸「了解。」

こいつは星宮幸ほしみやゆき俺の仲間だ。『銀狼ぎんろう 』に入ったのは、俺より、二週間後だが、同期みたいな感じだからとても親しみやすい。こいつは、「投げた物を狙ったところに確実に当てる能力」を持っている。この能力は、動いている物には効果がないけど、使い方次第では、とても強い能力になる。
そんなこいつと一緒に取り掛かるのが、護衛任務。護衛対象は、ルナポロネーゼ王国の王族の方だ。国王と、王妃、第一、第二王女の四人が護衛対象だ。どうやら、来日に合わせてテロリスト集団が殺人予告をしたらしい。王族の人間には、ちゃんと専属の護衛がついているが、その中に能力者は一人もいない。しかし、彼らにも予定があるため、来日スケジュールの変更などができない。そこで俺たちに依頼してきたというわけだ。非公開政府組織とはいえ、国賓にはその存在が明かされるため、こういった護衛任務はよくあることだ。しかしこの事件が後に大きな影響をもたらすということをこの時の俺はまだ知らなかった。

国王「今日は一日よろしくたのむよ。」
一兎、幸「はい!」

そのまま護衛任務がスタートした。ルナポロネーゼ王国の王族が様々な観光スポットを巡る。その際中、俺たちは警戒を緩めなかった。だが、事件は起きてしまった。

テロリストA「護衛が一人ダウン!いやあ、ちょろいね。」
幸がやられた。死んではいないが、少なくとも三分は動けないだろう。そして俺たちの周りには、たくさんのテロリストがいる。ざっと数えて十五人くらいだろう。そんなことを考えていた時だった、あの気配を感じたのは、俺と同じ、妖怪の気配を感じたのは。
一兎「まさか、お前たちは妖怪なのか!?」
テロリストB「よくわかりましたね、我々は、妖怪の集まりですよ。あなたと半分同族ですよ。半人半妖はんじんはんようのお坊ちゃん。」
一兎「俺のこと正体を見破っただと!?お前、上位妖怪か!」
テロリストB「まあ、そう呼ばれていた時期もありましたねぇ」
一兎「お前たちの目的はなんなんだ!こたえろ!!」
テロリストB「そうですねぇ、冥土の土産に教えてあげましょう。我々の目的は、」
『妖怪たちのユートピアを作ることですよ。』