第一話 始まりの能力

日本、K県、藤ノ宮市ふじのみやし
これは、まだ高校二年生になったばかりのとある青年の物語である。

一兎いちと「チャージ・キック!」
敵「ぐぁあ!!」
一兎「対象の確保完了」
ゆう「了解。ご苦労だった。本部に帰還しろ」

俺は魅守一兎みかみいちと、非公開政府組織、異能犯罪対策局戦闘班いのうはんざいたいさくきょくせんとうはん、通称『銀狼ぎんろう 』に所属している能力者だ。この世界には、能力がある。その能力は二十五年前、突如現れたいわゆる超能力というやつだ。
人々はその能力を『セフィラム能力』と名付けた。この、セフィラム能力は人々に便利な暮らしを与える一方、その力で犯罪を犯す者もいる。
その犯罪者に対応すべく創られた組織が、この『銀狼』だ。そしてこの組織を引っ張っているのが、園上幽そのがみゆうだ。
この男の能力は、「空間に干渉する能力」
しかしこの能力は、そこまで大きな力は出せない。
できても短時間の重力操作、テレポートくらいだ。でもこの力のおかげで幽さんは俺たちの様子を確認し、指示を送ることができる。
彼の情報処理能力は本物だ。組織のみんなが頼りにしてる。
俺は、たまたま町で暴れてるセフィラム使いを倒したときに、その一部始終を見ていた幽さんにスカウトされた。
その時の能力者は、なかなか強いやつだったらしいが、俺が一分もかからずに倒したことにすごく驚いていた。
そんな俺の能力は、「自身と自身が触れている物の設定をいじる能力」だ。
長いから、終焉回路ラストプログラムと、名付けた。
終焉回路は、汎用性が高く、木刀を真剣と同じくらい固くすることもできるし、自分の身体能力を引き上げることもできる。
この能力のおかげで、対物ライフルくらいなら防具無しで耐えることができる。組織の中だと、最強能力者とも言われているが、能力だけだ。戦闘は能力だけじゃ、切り抜けられない。
師匠の月夜見龍時つくよみりゅうじには勝てない。
彼の能力は「高速移動する能力」だ。でもこの男の反応速度は、人間離れしている。つまり、能力との相性が良すぎるのだ。
故に誰も勝てない。世界最強の人間とまで言われるくらいだ。
そして、師匠の月夜見さんと、幽さん俺しか知らない俺の秘密があった。
この秘密は知られれば世間を混乱に陥れるほどの、大きな秘密だ。
その秘密とは、俺が妖怪の血を引く人間。つまり、半人半妖はんじんはんようであるということだ。ちなみに、妖怪の存在は世間に知れ渡ってない。
この秘密はできるだけ隠さなければならなかった。あの事件が起きるまでは・・・