-ICHITO'SVIEW-
一兎「ついに来たか、この日が」
水無月透を倒す日、それが今日だ。ちなみに、例の妖術はまだ完成していない。
幽「気をつけろよ。お前たちを死なせたくないからな」
幽さんがそう言ったとき、間髪入れずに月夜見さんが
龍時「特に一兎。死ぬなよ。絶対に」
と、釘を刺されてしまった。
歌恋「大丈夫です。私が意地でも死なせませんから」
歌恋が自信満々に言う。が、その声は震えているように聞こえた。
一兎「それじゃあ、行こうか」
だが、俺はあえてそのことに触れなかった。そして、戦場へ行くのだった。
-ANOTHERVIEW-
?「とうとう始まったか、決戦が」
一兎と歌恋ちゃんが戦うと予想しているが、正直、あの二人でも勝てる見込みがない。
僕「僕の合わせ鏡の夜を駆使しても勝てるか怪しいのに、あの二人が勝てるのかな?まあ、僕にできるのは敵の戦力を減らすことだけ。なら、やるしかないか」
そう言って、僕は二人の後をつけて、水無月透が居る場所へ向かった。
敵A「なんだ?おまえ、てっきりあの灼熱の半妖が来るかとおもったんだがなあ」
到着したので、僕は別の場所から侵入した。するとさっそく敵が現れた。
敵A「ふん、これでもくらえ!妖術、第一幕、氷華!」
氷の花のようなものがこちらへ向かってくる。しかし、
僕「妖術、第一幕、鬼火」
一兎の妖術をコピーし、それを放つ。
敵A「なんだと!ぐぁああああ!」
氷は一瞬で溶けて、炎はそのまま貫通し、敵に当たる。
僕「まあ、簡単な作業だな」
僕が油断していると思ったのか、背後から岩が飛んでくる。まあ、油断してないんだけど、
僕「終焉回路!」
これも一兎の能力だ。ていうか、僕が言うのもなんだけど、あいつ、万能すぎないか?まあ、そんな万能すぎる能力を使い、自身の体をダイヤモンドくらいまで硬くする。
敵B「なに!その能力は魅守一兎の!」
まあ、気づいたところで結果は変わらない。
僕「さっさと消えてくれるかな。妖術、第伍幕、雷障」
蜘蛛の巣状の雷を飛ばして、敵を倒した。
敵B「ぐあああああああああ!」
そして僕は奥へ進む。暴れ馬の如く。すると、門番みたいなのがいて、
門番「ほお、魅守一兎が来たわけじゃないんですね。まあ、いいですけど」
僕「一兎たちならもうしばらく来ないよ。今、作戦を確認している最中だろうから」
これは嘘ではない。アリサも一緒に来ていたので、こっそり移動して、水無月との戦闘の直前に能力を増幅するのだろう。そのため、もう少し時間が掛かるはずだ、それまでにこいつを倒せば僕の役目は終わりだ。
門番「ここまで来たということは、戦うということでいいんですね。妖術、第漆幕
、風鈴」
リン
そんな音がしたと思ったら、相手の姿が消えていた。瞬間移動の類か。
僕「妖術、第陸幕、火竜巻
」
炎の竜巻を盾にして攻撃を防ごうとする。しかし、
門番「妖術、第伍幕、風刃」
風の刃が僕に襲い掛かる。その行動を予測できなかった僕は攻撃を受けてしまう。はずだった。
門番「な、馬鹿な!」
あの門番が驚いている。それもそうだ、自分の放った攻撃が消えているのだから。
僕「これに関してはネタバラシをしてあげるよ。僕の能力は見知った技や能力をコピーするというものだ。まねをするようなもんだ。コピーをするだけだから、妖術を使うときも、妖力を使わない。そんなに使い勝手がいいなら、別々の技同士を合わせることだってできる。今回は、火竜巻と、氷華を合わせて、炎に当たったものをなんであろうと凍らせた」
門番「そ、そんなの、ずるくないですか?」
門番がふとそんなことを言う。
僕「ずるくないさ、こんな世界じゃあ、能力が強く、その能力を使いこなしている人が強いんだ。こんなくそったれな世界だからな、それが普通なんだ。僕を倒したいなら、死ぬ気で来ないとだめだよ」
僕がそうやって言うと門番は僕をにらみ、
門番「うおおおおおおお!妖術、第拾幕、風神
乱舞!!」
風をまとい、暴れた。がむしゃらな攻撃なら、隙は大きい。だから、その隙をつける攻撃をしようと思った時、
門番「まだまだぁ!妖術、幕引き!」
僕「幕引きだと!」
幕引きをその状態で打てるのか、これがこいつの本気か。
門番「龍円召嵐!」
とてつもない威力の嵐が吹く、それが僕に当たりそうになった時、僕は、炎の妖術と水の妖術のそれぞれの第拾幕
を組み合わせようとした。炎龍乱舞と水龍乱舞。対の存在である二対の龍が今、目覚める!
僕「妖術・鏡、第拾幕、双龍乱舞!」
炎と水の龍が暴れる。ひたすら暴れる。もう誰も逃げることはできない。
僕「君の攻撃はまさに、馬の耳に念仏、だよ」
門番は、悲鳴を上げることもなく、倒れた。
僕「さて、こいつをどこかに隠しておこう、一兎たちに見つかっても面倒だ」
-ICHITO'SVIEW-
一兎「この扉のさきにいるのか」
俺たちは水無月がいるであろう扉の前についた。
アリサ「一兎君、歌恋ちゃん、はい」
そう言うと、アリサの手が俺と歌恋に触れ、能力を発動させる。
歌恋「ありがとうございます。花咲先輩。よし、僕たちで、水無月を倒そう!」
ん?今、歌恋の一人称がおかしかったような・・・
一兎「歌恋、今、お前自分のこと、『僕』って言わなかったか?」
俺がそう聞くと、歌恋は
歌恋「?何言ってるの?私の一人称は『私』だよ」
歌恋がそう言うと、俺とアリサはお互いの顔を見て、互いに首を傾げた。