第七話 花咲く教室

一兎いちとゆき!急げ!遅刻するぞ!」
幸「わかってるよ!うるさいなぁ」

今日は学園の入学式と始業式だ。この学校は、『生徒の個性を育てる』というのをモットーに作られた学校で、この学校の創立者は、百瀬仁ももせひとしという政治家で、俺たちの所属する『銀狼 ぎんろう 』の最高責任者だ。
なのでもちろん、
幸「は?なんでアリサちゃんと別クラスなんだよ!一兎はなんでアリサちゃんと同じクラスなんだよ!」
クラス替えでこちらの願望を聞いてもらえる。
アリサは『銀狼』の管理下に置かれた少女なので、同じクラスに誰かメンバーを加えなければならないので、百瀬さんに頼んだのだ。さすがに幸を同じクラスにするのはまずいしな。
入学式と始業式が終わったので、自分たちの教室へ行き、全員で自己紹介をすることになった。
一兎(次はアリサの番だな。どんな挨拶をするのかな。)
アリサ「はじめまして。花咲アリサです。今日転入してきたばかりなので、まだわからないこともありますが、よろしくお願いします!」
すると教室内で大きな拍手が鳴り響く。みんな歓迎してくれたようだ。

そして放課。
女生徒A「アリサちゃんってどこの出身なの?」
女生徒B「アリサちゃんってかわいいね。どんなケアをしてるの?」
さっそく囲まれて、困惑しているアリサ。助け舟を出すべきか、俺が迷っていると、
かがみ「まあまあ、皆。落ち着くんだ!そんなふうに言いよると、花咲はなさきさんが困惑してしまうよ」
女生徒A「確かに、そうだよね・・・ごめんね、アリサちゃん」
アリサ「ううん!別に気にしてないよ!」
一兎(そうか、このクラスにはあいつがいるのか。)
アリサを助けたこの男は、鏡深夜かがみしんや といって、一年のころから学年で一番のイケメンといわれている。そしてこいつはみんなをまとめ上げる力があるので、よくリーダーに選ばれる。そして、学年首席の男だ。でもこいつは、俺より数学と理科の点数が低いけどな。まあでもこいつは他の教科で満点を取りまくってるんだけどな。
鏡「花咲さん。このクラスにいる人たちはみんな気のいい奴だから、困ったことがあったら何か言ってね」
アリサ「うん。ありがとう!」
まあ、アリサが馴染めたようで良かったかな。

ー放課後ー
一兎「アリサ、学校はどうだった?」
アリサ「うーん。第一印象はみんな優しいなぁと思ったけど、なんというか、昨日一兎君が言ってた意味が分かった気がするよ」
一兎「実際、この学校は偏差値低いからなあ。個性を育てるためだけの学校って感じ」
アリサ「へぇーそうなんだ。そういえば、部活も多かったよね。セフィラム能力研究会とか、面白そうだったね」
一兎「確かにあそこは面白いかもな。だってあの部活は・・・・・・・・・ッ!」
ドカァーン
地面が震えるほどの大きな爆発が起きた。テロリストか?
一兎「アリサ!俺は様子を見に行く!アリサは幽さんにこのことをー」
そう言いかけたときに体が勝手にアリサの方へ動いていた。自分でもなぜアリサの方へ動いているのかわからない。すると、
一兎「ッ!まずい。終焉回路ラストプログラム!」
一兎は気づいた。アリサの方へ攻撃が飛んでいるのに気付いた。
一兎「危なかった。アリサ、怪我は?」
アリサ「ううん、無傷だよ」
一兎「それならよかった・・・クッ!」
また攻撃が飛んできた。それをまたはじき返すと、
?「いやぁ、すごいねぇ!僕らの攻撃を防ぐなんて。やっぱり君が灼熱の半妖かな?僕の名前はスリーで、こっちがフォー だよ。君を倒すために来たんだ!」
4「そうだ、我々妖怪の組織、『ロイヤル・カーズ』は人間に宣戦布告をする!」
一兎「宣戦布告?なんだそれ」
3「後で動画サイトを開くといいよ。詳しい話はそこでするから。まあでも、君が生きて帰れたらの話だけどね」
その瞬間、攻撃が飛んできた。今度は複数。
一兎「ッ!あぶねぇ。お前たちの目的は、妖怪たちのユートピアを作ることか?」
3「そうそう、よく知ってるね。もしかしてツーから聞いてるのかな?あ、そうそう、2ってのはこの前どっかの国の王様を殺そうとしてたやつのことね」
一兎「やっぱりグルだったか。そうと決まればお前を即行でたおして・・・」
3「『魅守霊みかみれい』と『魅守一狼みかみいちろう』」
一兎「なんでその名前を?」
3「やっぱり、君の両親の名前だろ?魅守一兎みかみいちと君」
一兎「俺の名前まで、なんで?」
3「教えてあげるよ。その理由は、僕たちの組織のメンバーが君の両親を殺したからだよ。そして、君の名前は、君の両親が死ぬ間際までずっとつぶやいていたからさ。顔の方は、『魅守霊』が写真を持ってたから、分かったんだけどね。いやぁ。まさか魅守家の生き残りと会えるなんて思って無かった、よ?」
一兎「しゃべりすぎだ。血気開放けっきかいほう!」
4「なんだと?3が一撃で倒された?それにあいつの髪の毛の色が赤くなっている。油断はできないか・・・」
血気開放。この技は自身の血液のうち二割を消費することで圧倒的な力を生み出すという技だ。あいつは俺の逆鱗に触れた。俺の家族を、あざ笑うようにしゃべり続けた。俺を怒らせるには十分すぎる理由だ。
【魅守一兎の秘密】
一兎は両親の仇を探している。一兎の目的は、両親の仇を打つことである。そして、一兎は【魔道具プライズ】エラーザブレードを所持している。

一兎「さて、お前にとっての最終演目を始めるぞ。妖術ようじゅつ第拾幕だいじゅうまくえんりゅう 乱舞らんぶ!」
炎によって形成された無数の龍がクズ蹂躙じゅうりんする。そして奴は赤子をあやす時のように高い高いをさせられる。
一兎「高い高いなんかじゃなくて、他界他界させてあげるよ」
4「馬鹿な、こんな一瞬で状況がひっくり返るなんて・・・」
一兎「終わりだ。チャージ・キック」
4「ぐぁああああああああああ!」

俺は血気開放を解除した。すると眩暈が俺を襲った。貧血だ。早く帰ったほうがいいのだが、神は俺に休息などくれないようだ。貧血のせいで動きが鈍くなった俺に、一筋の雷が落ちる。
一兎「ぐぁああああああああああ!」