第七話 花咲く教室

一兎いちと「休日に学校なんて初めてだよ」
アリサ「一兎くんは部活に入ってるの?」
一兎「あの仕事をしながら部活ができると思うか?」
アリサ「あ、確かにそうだよね」
今俺たちは俺の通う『藤ノ宮学園ふじのみやがくえんという高等学校に向かっている。なぜ休日に行ってるのかというと、さっきゆう さんに訓練の代わりにアリサの転入手続きを済ませてほしいと言われたからだ。
一兎「てか、うちの学校って転入手続きをするために直接学校へ行かないといけないんだな。まあほかの学校がどんな感じなのかは知らんけど」
俺がそう適当に返すと、
アリサ「まあ、転入前に直接顔を見ておきたいということなんじゃない?」
アリサは真面目に答えてくれるが、別に俺はその話に興味がないので、
一兎「ま、そんなことはどうでもいいけどな。にしてもアリサは運がいいなぁ」
話を変えた。
アリサ「えっ、どういうこと?」
アリサが首を傾げつつ聞いてくる。
一兎「お前の転入するタイミングだよ。まさか入学式の日だとはな」
入学式の日。この日はみんな大好きクラス替えの日でもある。
アリサ「確かに、新しいクラス内での溝とかはあんまりないからよかったのか、な?」
そんな反応をするアリサに俺は
一兎「別に、クラス内で孤立してても俺が相手になってやるけどな」
アリサ「えっ?う、うん」
ちょっとキザなことを言ってみた。あんまりこういうことをしていると『あいつ』がなんか嫉妬しそうではあるが。
一兎「さて、ここが藤ノ宮学園だ、かなり広いだろ」
そんなよくある日常会話(?)をしていると学校についた。
アリサ「確かに広い。私、これからこんなところに通うの?」
アリサが尻込みするのもわからなくはない。なぜならこの高校の広さは名門大学並の広さだからだ。
一兎「ああ、広いからな。迷子になるなよ」
アリサ「一兎くんについていくから大丈夫!」

そして職員室の前についたところで、俺はアリサに声をかけた。
一兎「ここが職員室だ。準備はいいか?」
しっかり緊張している様子のアリサは、
アリサ「スーハー。うん、大丈夫・・・」
と言ってドアをノックした。
コンコンコン
アリサ「失礼します。明日から転入することになった花咲アリサです」
ぎこちない挨拶をアリサがすると、
教師「はい、少々お待ちください」
と教師の声がした。声からして多分女性だろうが、それはどうでもいい話。
一兎「じゃあ、アリサ、俺はあそこで待ってるから。あとでな」
アリサ「うん」

アリサの転入手続きも終え、屋敷に帰ることにした。
一兎「うーん、なんか軽く食べてくか」
アリサ「え?」
俺の提案にアリサは首を傾げた。
一兎「いや、ちょっと小腹が空いたもんで。あ、アリサにおすすめの店があったんだ」
俺がそう言うとアリサは食いついてきた。
アリサ「それってどこ?」
一兎「もう少しでつくよ。ていうかもう見えてるし」
俺はその目的の店を捉えていた。
アリサ「え?どれのこと?」
一兎「あれだよ。あの焼き鳥屋」
俺がその焼き鳥屋を指さすと、アリサは
アリサ「へぇー」
詰まんなさそうな声を発した。
一兎「その顔は信用してないなぁ?だが食べると絶対驚くぞ!おーい!おじさん!いつものもも肉二人分!」
俺は焼き鳥屋を営んでいるおじさんのもとへ駆け寄り、注文をした。
焼き鳥屋「お、いっちゃんか。今日は二人分なんだな。そっちの黒髪の女の子は彼女さんかい?」
おじさんがそう言うと、アリサは顔を赤くした。
アリサ「え!」
俺はそれに対し、
一兎「違う違う!ただの友達だよ」
と言ってやった。
焼き鳥屋「そうかぁ。おっと、もも肉だったね。ストックがあるからすぐ食べれるよ」
一兎「じゃあ、はい焼き鳥代の三百円!」
焼き鳥は一本百五十円である。
焼き鳥屋「おう、ちょうどだな。じゃあ、はい。まだ熱いから、気をつけろよ!」
俺は焼き鳥を二本受け取ると、それをアリサに渡そうとする。しかし、
一兎「ああ、ありがとな。さてと、はい。アリサの分だ。って、ん?」
アリサはなんかぼそぼそ言っていて、こちらの様子が見えていないようだった。
アリサ「彼女?私が一兎くんの?え?私たちはたから見ると恋人に?」
一兎「おーい、アーリーサー?」
アリサ「ひゃい!」
ぼそぼそ言ってるアリサに声をかけると、変な声を上げた。
一兎「そんな驚かなくてもいいじゃん。はい焼き鳥。熱いうちに食べな」
そう言って俺が焼き鳥を差し出すと、アリサはさっそく食べた。
アリサ「う、うん。 あ、おいしい」
一兎「だろ?だから言ったじゃんおいしいって」
なぜか俺が自慢げに言うと、
アリサ「うん。ちょっと侮ってたかも」
と素直な感想。
一兎「じゃあ、そろそろ帰るかな」
俺がアリサにそう言うと、
アリサ「うん!帰ろっか!」
元気よく返事をしてくれた。

・・・・・・帰宅後
アリサ「一兎くん、あの学校って普段はどんな雰囲気なの?」
一兎「んー、なんて言ったらいいのかな?あほの集団」
アリサ「は?」
俺の答えにアリサは何いってんだこいつみたいな顔で返してきた。
一兎「先生も先生らしい人はいないし、生徒会ですらネタキャラ扱い」
アリサ「え?」
アリサはまた同じような返事をした。
一兎「まあ、自由な教育をがモットーらしいけど、ちょっと自由すぎるんだよなぁ」
アリサ「不良の学校?」
俺の回答に、アリサは不審なものを見るような目で言ってきた。
一兎「いや、みんないいやつなんだけど、頭のネジが外れてるというかなんというか」
アリサ「それってどういう―」
ゆき「あ、アリサちゃん!!いやー今日も可愛いね。僕とデートしない?」
俺とアリサが話をしている途中で、具体例が現れた。
一兎「こういうやつが主な例」
俺がそう言うと、
アリサ「あーそういうこと」
アリサは納得してしまった。これにより、アリサの中の幸の株価が大暴落していることが判明した。
幸「ねぇー!デートしようよ!」
俺たちがそんな話をしているのにも関わらず懲りない幸。
アリサ「いや、今日はもう一兎くんとデートしたので、結構です」
アリサがマジレスした。
幸「え?そんなの不公平だよ。僕とも行こうよ!」
しかし幸にはマジレスという概念は存在していないので、めっちゃ押してくる。
アリサ「ええ・・・」
さすがに困惑するアリサ。さすがに見てられなかったので俺は、
一兎「はぁ、寝てろ、幸」
俺は幸の後頭部をたたき、気絶させた。
アリサ「これでよかったんでしょうか」
この光景を見たアリサはなぜか敬語になっていた。
一兎「よかったの!」
俺が無理やり言いくるめると、
アリサ「は、はい。ありがとうございました」
アリサは敬語で感謝の言葉を述べた。